幼稚園ではたらくことに
興味をもっているあなたのために
絵本「おばけのマールシリーズ」の
絵を描いている絵本作家の
なかいれいさんが
幼稚園にインタビューに行きました。
- 函館大谷短期大学附属認定こども園
-
函館市鍛治1丁目2番3号
お話をしてくれた方々
● 葛西真理子園長
● 村田結衣さん 保育士経験4年目
● 池渕歩さん 保育士経験2年目
やりたいことが具現化できたら保育はとても楽しくなる
Q: この園での働き方や保育に対する思いをお聞かせください。
葛西真理子園長:
「保育は楽しい」と思って仕事ができるような集団としてやっていきたいですし、一人ひとり生き生きと働ける園でありたいと思っています。例えばみんなで決めた目標に向かっていくにしても先生方の個性を尊重していろんなやり方で達成していけたらいいと思っています。お互いの個性を補い合い自然に支え合えるような職場環境であればいいですし、それをみて子どもたちも育っていくと思っています。
私自身の体験をふまえると、やりたいことが具現化できたら保育はとても楽しくなると思っています。子どもも先生も主体的なのが一番いいと思っていますので、やりたいと思ったことを口に出して言える環境、形にもなっていく環境でありたいです。
育児休暇や時間短縮など結婚後も続けている先生もいます。せっかく身につけたスキルですのでさらに働きやすい環境になっていけばいいと願っています。
そして子どもたちからも学びをもらいます。何十年かたって卒園児のお子さんが入園してきてくれた時、あの頃に自問自答してやってきたことは良かったのだと答えを貰えたような気がしたりします。
思いが形になる、形にしていくことはやりがいにもなりますね。
村田結衣さん:
園長先生の言葉には名言がいっぱいあって、腑に落ちる部分が沢山あって学びがたくさんあります。
池渕歩さん:
働きはじめの頃は緊張して過ごしていたのですが、園長先生の方から声をかけてくださって心をほぐしてくれたんです。
園長先生に尊敬の念を抱いているから働くことにも誇りを持てるんですね。
失敗を恐れず積極的にコミュニケーション
Q: 学生さんたちは保護者との人間関係に不安を持っているようなのですが。
村田結衣さん:
やはり1年目の時は保護者の方への対応をどうしたら上手くできるのか日々の課題でした。ですが、とにかく話し方が下手でもどんどんコミュニケーションを取って信頼関係を築くことが大切です。最初の頃は失礼な言葉遣いをしてしまったこともあったかもしれませんが、失敗を恐れず日頃の子どもたちの様子を継続して伝えていくことで不安は解消されます。
上手い下手より誠意を伝えることが大切なんですね。
池渕歩さん:
保護者の方ともコミュニケーションはもちろん大切ですし、一緒に組んでいる先生やサポートの先生、先輩方とのコミュニケーションも怠らないようにしています。何かあっても一人で悩まず相談するようにしています。
相談できる環境を自分で構築していってるんですね。
せんせいといっしょにおおきくなったよ!
Q:幼稚園で働いていて感動した体験をお聞かせください。
村田結衣さん:
保育士1年目で初めて受け持った年少の子どもたちがそのまま年中年長と成長して卒園となった時に、子どもたちみんながお手紙をくれたのです。その中に「先生といっしょにおおきくなれてたのしかったよ」と書いてあったり、保護者の方からも「先生が1年目の時から頑張って子どもたちと一緒に育つ姿をみられて良かった」「よい先生に恵まれてよかった」と言っていただけたのです。今思い出しても感激して涙が出てしまうほどです。保護者の方々にも本当にサポートしていただき自身の成長にもなりました。
素敵な思い出が蘇ってきますね。私まで目頭が熱くなりました。
葛西真理子園長:
村田先生が頑張っているから応援したいと保護者の方も私に言ってくださるんです。先生たちの成長は私にとっても大変嬉しいことです。その保護者もかつて卒園児で今度はご自分のお子さんを預けてらしたんですよ。
よい園である証ですね。世代を繋いで思い出が増幅していきますね。
せんせいのことだいすきだよ!
池渕歩さん:
保育士1年目の時のことなんですが、やはり初めてなこともあり不安もありました。ですが行事ごとに成長していく子どもたちの姿が愛おしかったり、終業式に子どもたちから「ありがとう」「だいすきだよ」と言ってもらえたことがすごく嬉しかったです。
葛西真理子園長:
池渕先生は学生の時からコロナ禍で、実習経験など含めこれまでとは全く違った環境で保育士スタートでしたから不安も大きかったと思います。その分学生時代に所属していた「光る影絵サークル」での経験などもこの仕事に生かそうとしていますね。
コロナ禍で何ができるかを模索して頑張られているんですね。
保育士の仕事はもっと社会に認知されるべき
Q: 幼稚園で働くことに不安を抱えている学生が多いようですが?
葛西真理子園長:
研修なども他の園よりは多い方です。今はコロナ禍で少なくなっていますが、先生同士の交流会などで情報や意見交換するのが刺激にも気づきにもなりとても大事だと思っています。そのためにもいろんなジャンルで研修できる機会を心がけています。処遇についても認定子ども園になってから徐々に改善されてきています。保育士業界全体の話にはなりますが、やはり大切な命を預かっているのですから社会的にもっと認知されて欲しいですね。
子どもの根っこにあたる部分に働きかける重要な仕事だと思います。
村田結衣さん:
ピアノの得意不得意や衣装なら物作りが得意不得意など、いろんな先生がいるので、出来ないことを自分一人で抱え込まなくても大丈夫です。まわりに頼って助けあうことも大切です。
お互いに補いあえる関係が素敵です。万能であろうと気負わないことですね。
その子になる。何でも一緒にやる。
Q:幼稚園で働く。子どもと接する仕事をする上で大切にしている信条や志をお聞かせください。
村田結衣さん:
「その子になる。その子の気持ち自身になる。」ということを心がけています。そのためにはとにかく何でも一緒にやることを心がけています。子どもたちに寄り添い思いを汲み取れるように同じ目線に立ってるようにするために大切なことです。そして子どもたちが卒園して成長していく過程で、私と一緒に考えたり悩んだりしたことが、壁を乗り越えたりするための光になればいいなと毎日過ごしています。
子どもにうんと寄り添おうと努力されているのですね。
笑顔で安心できる存在でいること
池渕歩さん:
子どもたちに向ける笑顔を大切にしたいと思っています。年少の担任をしているのですが、子どもたちにとって初めて幼稚園生活で不安がいっぱいだと思いますので、園の中で一番安心できるよう笑顔で接するよう心がけています。クラスの子どもが「先生の好きなところは笑顔!」と言ってくれたことがあってそれがとても嬉しかったです。先生が楽しんでいると子どもにも伝わっていくので日々意識しています。
チャレンジする気持ちが大事
Q:他に何か学生さんに向けたアドバイスはありますか?
池渕歩さん:
私は人前で話すことがとても苦手だったのですが、学生時代の「光る影絵サークル」の経験がとても役に立ちました。部長だったので行事で司会をするなど人前に出て話す機会が多かったので次第に慣れていきました。園では担任になると子どもたちの前で話さなくてはなりませんので克服できて良かったです。苦手分野に敢えてチャレンジしてみたり自分の得意なことを学生のうちに見つけられたら個性というよい武器になると思います。
チャレンジ精神旺盛なのは自分を知る機会にもなりますね。
みんないっしょに、おおきくなろうね!
葛西真理子園長:
今の学生さんたちは失敗を恐る傾向にある気がします。ちょっと踏み出すことにブレーキがかかっているようです。でも失敗は誰でもするものですから、叱られることやアドバイスで支えられる人間関係の経験は大切。やってみましょう、一緒にやってみましょう、子どもだけが育つのではなく、保護者の方々、先生たちも一緒に学生さんたちもみんなで育っていきましょうと思っています。技術を教えるだけではない人としてどうあるべきかというのが究極の幼児教育なんじゃないかと考えています。大きな困難に立ち向かった時に、乗り越えていく強さや助けてと言える勇気などを子どもに教えながら私たちにも培われるものだと感じています。
園のキャッチコピー「みんないっしょに、おおきくなろうね。」は関わる人すべてに向けられているのですね。