幼稚園ではたらくことに
興味をもっているあなたのために
絵本「おばけのマールシリーズ」の
絵を描いている絵本作家の
なかいれいさんが
幼稚園にインタビューに行きました。
- 札幌白樺幼稚園
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学校法人大藤学園
札幌市白石区南郷通18丁目北5-5お話をしてくれた方々
● 中村みどり園長
● 澤木多佳子副園長
● 武藤未奈さん 保育士経験13年目(結婚して4年出産を経て復帰して2年目)
いつまでも慕い続ける憧れの先生
Q: この園での働き方や保育に対する思いをお聞かせください。
中村みどり園長:
保育はやったらきりがない仕事であり徹夜をしたり家に持ち帰り仕事をするイメージがあるかもしれませんが、それは昔の話です。今は複数担任になっていますし、働き方改革によって年間変形労働制を取り入れていて、全体の仕事は17 時前に終わるようにしています。行事の前は忙しいですが遅くても19 時までには帰れるようにしています。平成14 年から園長を務めていますので、古い体質の時からずっとみてきています。せっかく幼稚園の先生になりたくて養成校に行かれている若い方々に、楽しんで夢をもって長く仕事を続けてもらえるよう、その時代に合わせて葛藤しながら頭を切り替えています。
私自身が子どもの頃にこの幼稚園に通っていて、当時の先生の姿に憧れて幼稚園で働くことに魅力を感じ幼稚園教諭になろうと思いました。その先生とは今でも交流が続いていてお手紙も大切にとっています。
子どもの頃に憧れて大好きだった先生の姿に、
今はご自身がそうなられていますね。
身につけたスキルは一生もの
中村みどり園長:
今は産休や育休の制度も充実していて、勤続年数10 年20 年の方も多くなってきています。一旦結婚や出産で辞められた後、復職される元職員だった方もとても多いんです。うちの園はすべてのクラスが複数担任なのですが、新人の先生のサポートに回ってくれたりしています。今は資格を持っていると、いろんな働き方があります、ダブルワークの方もいますし、週1回だけ勤務するとか、時間を短くしたりと様々です。
澤木多佳子副園長:
あまり知られていないだけで、その方の生活スタイルに合わせて様々な働き方のフォローがされているんです。元職員だった先生方が戻って来られるのは本当にありがたく、即戦力になって助けられています。職場環境もとても仲良く、新人やベテラン、パートの立場を意識せずに働かれていますね。
働きやすい証拠ですね。培ったスキルを再び生かせるのは素晴らしいですね。
Q: 幼稚園で働いていて感動した体験をお聞かせください。
中村みどり園長:
一番は毎日子どもの笑顔や癒しをたくさんもらってますし、出来なかったことができるようになる成長を間近でみられ一緒に共有できるところがとても楽しい仕事だと思っています。卒園した子が成長してから、この園に就職試験を受けに来てくれた時はとても嬉しかったです。園児だった頃を思い出し、思わず涙してしましました。また他の園に実習に行く時なども相談に来てくれたりと、ずっと慕ってくれる関係が続いていることがすごく嬉しいです。
武藤未奈さん:
一年が終わった時に、子どもたちや保護者の方々から「先生でよかった!」と言ってもらえた時はすごく嬉しかったです。
卒園生とのよい人間関係が小さいうちからできていくんですね。
ピアノが苦手でも大丈夫
Q: 幼稚園で働くことに不安を抱えている若い方が多いようです。
中村みどり園長:
ピアノが絶対弾けなくてはいけないイメージがあると思いますが、今はピアノに限らず、例えばギターを弾く人もいますし、けん玉でもバスケットボールでもダンスでも自分の特技や好きなことがあれば大丈夫です。
澤木多佳子副園長:
ピアノについての質問は必ずありますね。その時は「大丈夫、私も弾けないから。」と伝えています。みな様々で、ヨサコイを踊ってくれたり、縄跳びの二重跳びができる人や、読み聞かせが上手だったり、中には自作の紙芝居を作ってきたりといろんなアイデアを持って来てくれます。自己表現ができるというのが大事ですね。
それは子どもたちにもいい影響ですね。
いろんな可能性を伸ばしていっていいんだと思えるわけですから。
お給料がどんどんアップ!
Q: お給料が少ないのではと気にされている声もききますが?
中村みどり園長:
今は処遇改善が進んできていますので、新卒でも19万円ほどですし、どんどんアップしてきています。住宅手当も出ていますし有給休暇制度もあります。特に幼稚園は夏休み冬休みがありますので、海外旅行を楽しむ先生方も結構いますよ。うちの園はシンガポールの幼稚園とも姉妹提携していますので、研修を兼ねて海外の文化に触れる機会もあります。
それに勤続年数に合わせて一時金が公金が支給されます。市町村によって異なりますが、札幌市の場合は3年6年9年で10 万円の支給があります。幼稚園業界としても保育の社会的評価を高めていこう変えていこうという動きになっています。
澤木多佳子副園長:
一人暮らしで車を所有されている先生もたくさんいます。実際に職業体験などで見学に来られるといいと思います。悪いイメージは全く変わると思いますし、子どもたちが可愛くて不安なんか吹き飛んでしまいますよ。自分の幼少期も思い出すようです。
予想外に待遇が良くて驚いています。
幼稚園教諭の未来が明るくなりました。ぜひ学生さんたちに知ってもらいたいですね。
みんながサポート
してくれるから大丈夫
Q: 保護者の方々との人間関係はいかがですか?
中村みどり園長:
もしトラブルがあったとしても、一人で抱え込むようなことはさせません。同僚がいたり先輩がいたり、保育時間が終わった後にいいことも悪いこともお互い報告し合い相談相手がいる環境を心がけています。今年はコロナの影響で控えていますが、外で飲食をしながら同期同士で情報交換したり、園に1 人しか新人の先生がいなくても学園全体、市内、道内での研修会で先生同士の出会いの場がありコミュニケーションや情報交換ができます。
うちの園は若い先生たちが動きやすいように、上の人たちがサポートしています。新人こそいろいろ覚えるまで時間がかかるので、自分の仕事に集中できるように慣れているベテランの先生が一生懸命に気にかけていることが多いですね。
澤木多佳子副園長:
うちは何でも言いやすい方の職場だと思います。悩んでいることはみんな吐けていますね。
新人もベテランも一緒にやろうという感じですね。
新人の先生でも居心地がよさそうです。
安心して保育のスキルを磨くことに集中できますね。
Q: 持ち帰り仕事も多いイメージがありますが?
中村みどり園長:
昔はお便りを持ち帰って、返事を自宅で書くことも多かったですが、うちは一人一台iPadを持っているので今は写真を入れたりと園の中で作ってしまうので持ち帰ることはなくなりました。
澤木多佳子副園長:
それに個人情報保護の関係もあり、持ち帰りは出来ないんですよ。お便りなどは先生方も作るにつれコツを掴み、上手にカットを入れたりとどんどん楽しくなっているようです。
ICT 化によって残業も減りますし、お便り作りも楽しくなっているんですね。
一人一人に寄り添う大切さ
Q: 幼稚園で働く。子どもと接する仕事をする上で大切にしている信条や志をお聞かせください。
中村みどり園長:
保護者とは違い専門性といった部分で子どもたちのことを客観的にみることはできるかもしれませんが、比べるのではなく、一人一人に寄り添って向き合うということを基本にしています。どの子どもたちも自己肯定感が持てたり、大切にされていると感じて居心地がいい空間を与えることが重要だと思っています。
武藤未奈さん:
子どもたち一人一人の声に耳を傾けることです。たとえばみんなで大きな模造紙を使って創作するときも、先生の私がこうしようと言うのではなく、何がいいと思う?と子どもたちの意見を取り入れて、みんなで作ったよという達成感を味わってもらうように心がけています。
先生方みなさんとっても素敵です。
内面から輝いているのが伝わって来ました。